相互訪問五百万時代へ
台日観光業界恒例の「第八回台日観光サミット」がさる五月二十九日、「おしん」で台湾人にもなじみ深い山形県で開催された。台湾政府交通部観光局の統計によると2014年度、台日相互訪問者は460万6,636人に達し、観光サミットなど積み重ねてきた努力の成果が結実しつつある。そして今年度はいよいよ相互訪問500万人の時代を迎えることになる。
台日観光交流ますます盛んに
台湾政府交通部観光局の謝謂君局長は挨拶の中で、台日双方は昨年、「私の推薦する台湾」「私の推薦する日本」と題した写真コンテストを共催するなどさまざまな形で提携・協力を重ねてきた。コンテストの入選作品は、この度のサミット開催を記念して、台北駐日経済文化処のご協力も得て、山形県郷土館「文翔館」展示されることになった。この間双方間では、鉄道を通じた交流も盛んだ。32の同名駅を結ぶイベントを開催したほか、平渓線・江之電の提携協定が1年延長されて相互宣伝のビデオが完成した。またスポーツ方面では今年4月11・12日の2日間西武球場での公式戦に「台湾デー」が設定された。文化方面では宝塚歌劇団が今年8月、二度目の来演が予定されている。さらに嘉義農林の甲子園での活躍を描いた「KANO」が上映されてから「嘉義」の知名度が高まり、台湾南部を巡るパックツアーが盛んになっている。さらに今夏開催の台湾美食展のコンクール優勝者を年末までに日本に派遣するプランもある。台日の交流は来年にかけてますます拡充する見通しだ。
「地方観光の推進」が未来の重点
現在往来の活発化によりフライトチケットがとりにくい状態が続いている。そこで今回の会議では、大型クルーズ船・チャーター便・企業旅行を通じて地方観光の活性化を進めることを確認した。クルーズ船は容量が大きく、寄港先ごとの定点観光が特徴。企業観光は、オフシーズンに設定してもらうことによって機材のアレンジに効果的だ。また地方空港の利用を奨励するとともに、北から入って南より帰国するなど、到着地と出発地を入れ替えることでさらに多くの往来を確保できるようになろう。
また会議では人材交流の態勢強化、青年層の交流促進、教育旅行の奨励が決議された。双方が共同して宣伝素材を作成し、共同して販促をおこなうことで地方観光を発生化させていくことが重点課題である。
名古屋に観光局連絡所
日本旅行業協会(JATA)によると五月の連休時、もっとも人気のあった海外渡航先は台湾だった。Lonely Planetは台湾を2015年、もっとも価値ある訪問先ベストテン第8位にランクするなど台湾観光は注目を集めている。観光局はこの4月、新たに「名古屋中部連絡所」を設置した。東京事務所・大阪事務所に続いて、当地の重要性に鑑み、日本の中部地方の連絡所として旅行会社のサポート等に努める。修学旅行・企業旅行の奨励のほかスポーツや文化を通じた交流を航空会社・旅行社・メディアとともに推進していくことになる。
来年の観光サミットは台湾の宜蘭県で開催されることになった。最後に宜蘭県の代表があいさつに立ち、宜蘭の特色を紹介するとともに、心から歓迎する県民からのメッセージを伝えた。
「台日観光サミット」
2008年に台湾政府交通部観光局が「2008-2009旅行台湾年」プロジェクトを、また日本も同時にVisit Japan Campaign・Visit World Campaignを展開したのをきっかけに観光交流を一層促進させようと「第一回台日観光サミット」が開催された。サミットは意見交換と意志統一の重要な拠り所となり、この間、金融危機・東北大震災など幾多の困難を乗り切ってきたほか、台日観光交流年を締結したり、logoの相互利用を進めるなどしてきた。とくに羽田-松山直航便を実現したり、スポーツ・歴史・文化など広い分野での提携を実現させてきたことは高く評価される。そのかいあって相互訪問者数は2008年の240万人から2014年には461万人へと92%も上昇した。またこの間友好協定・姉妹協定を締結した組織は以下のように多数に上る:台湾最高峰の玉山と世界遺産に登録された富士山、野柳地質公園と山口県秋吉台国定公園、台北101ビルとあべのハルカス、台湾鉄道松山駅とJR四国松山駅、平渓線と江之電。
台日観光サミットと台日相互訪問者数
回 年度 サミット開催地 台湾訪日者数 日本訪問者数
1 2008 台湾台北市 1,309,874 1,086,691
2 2009 日本静岡県 1,113,857 1,000,661
3 2010 台湾南投県 1,377,957 1,080,153
4 2011 日本石川県 1,136,394 1,294,758
5 2012 台湾花蓮県 1,560,300 1,432,315
6 2013 日本三重県 2,346,007 1,421,550
7 2014 台湾屏東県 2,971,846 1,634,790
8 2015 日本山形県 1,140,238 503,804
(1-4月/ 26.38%) (1-4月/-4.94%)
(1-4月/ 26.38%) (1-4月/-4.94%)
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台湾観光協会理事会が沖縄県を視察
一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローは台湾観光協会が最初に観光友好協定を締結した日本の観光組織であるが(1997年)、両会はさらに昨年台北トラベルフェアにおいて契約継続の署名を交わした。双方の交流を一層促進するため台湾観光協会第22次董事会(理事会)はさる5月15日から18日まで当県を訪問した。沖縄観光コンベンションビューローの歓待を受けるとともに、ホテル・婚礼・観光業者、有機農場などの施設を見学した。
賴瑟珍会長(左三)率いる台湾代表団が沖縄観光コンベンションビューロー上原良幸会長を表敬訪問(右四)
台湾観光協会理事らが玉泉洞王国村で記念撮影。中華民国「国旗」が掲揚され相互の友好を確認