みなさんこんにちは。このコラムでは、台湾常連観光客である私(胖太子)の目線から見た台湾のよいところや面白いものなどを「台湾の光」として読者の皆様にお届けしています。
先日、少し早めの夏休みをとって家族と 4 人で台湾へ行ってきました。私以外は初めての台湾で、友人の結婚式のために1日遅れて参加した妹は 2 泊 3 日という短時間だったために、南部にまで足を延ばすことができなかったのは残念でしたが、いわゆる台湾を初めて訪れる日本人観光客の王道路線ともいえる台北、九份、十分といった場所はなんとか全てを訪れることができました。私にとってはもう何度も行っている場所がほとんどだったので、今回は家族サービスが主体で、新しい発見はないだろうと思っていたのですが、見る人の視点が変わると台湾の街もまた違う見え方がするもので、面白いものです。
なかでも今回の旅行で一番面白かったのが、妹から受けた「お兄ちゃん、台湾で矢沢永吉って人気があるの?」という質問でした。なぜそんなことを聞いたのか妹に尋ねると、「永吉路」という道路の看板を見かけた際に、「台湾には日本通の人が多いし、もしかして矢沢永吉を称えた道なのかもしれない」と思ったからという答えが返ってきました。さすがに「永吉路」は矢沢永吉を称えた道ではありませんが、台湾でよく見かける「中山路」「中正路」はそれぞれ孫文と蒋介石の功績を称えて名づけられている道ですし、アメリカ大統領・ルーズベルトにちなんだ羅斯福路や、烏山頭ダムをつくった日本人技師・八田與一にちなんだ八田路など外国人に由来する名前の道も台湾にはあるので、妹の感覚もあながち間違ってはいないのかもしれません。
考えてみると、私たちは小さい頃から日本で一般的に使われている○○市××△丁目□-□といった日本式の住所表記に慣れ親しんでいて、それが全ての世界で使われているものだと思いがちですが、世界を見てみると台湾のような道の名前+番号という住所の表記の方が一般的です。日本式の住所表記、台湾式の住所表記どちらが優れているという訳ではありませんが、目的地のある道がどこにあるかさえ知っていれば、後は番号で簡単に住所を探し当てられる台湾式の住所表記は、確かに便利だと思います。
昔から道は様々なモノやたくさんの人、そしてその人たちの思いを運んできました。九份を訪れたときには金山のトロッコが走っていた「軽便路」など町の歴史を感じさせる名称の道もありました。天然ボケの妹の質問からというのがなんだか癪ではありますが、道の名前から街の歴史やそこに住む人たちの願いに思いをはせてみるのも面白いものだとそんなことを考えさせられる家族旅行になりました。
胖太子(ぱんたいず)
仕事で台湾を訪れるうちに、いつしか仕事を忘れて台湾を訪れるようになった日本人。最近は季節に 1 回どころか月に 1 回台湾を訪れないと発作が起きる。外見は「電音三太子」にそっくりとかなんとか…。