台湾ランタンフェスティバル in 屏東
企画構成/鍾昀彤 文/劉宛昀 写真/宋育玫
屏東は台湾本島最南端の県。トロピカルムードにあふれ、年平均気温はおよそ25.5度と冬でも暖かい。三方を台湾海峡・バシー海峡・太平洋に囲まれ、多様な海岸線の景観を擁する。そのためリゾートの聖地として知られ、とくに大鵬湾や小琉球が人気を集める。
2019年の「台湾ランタンフェスティバル」はその大鵬湾で開催される。今号ではメイン会場となる大鵬湾と隣接する東港、そして離島の小琉球をご紹介しよう。ぜひこの機会に避寒を兼ねた南部旅行を計画したい。「高雄」を基地とした屏東の沿海を周遊する鉄道の旅がおすすめだ。
2019台湾ランタンフェスティバル
今年30周年を迎える「台湾ランタンフェスティバル」は屏東県東港鎮の「大鵬湾国家風景区」で開催される。大鵬湾は台湾最大の単口潟湖(口が一つの汽水湖)で、台湾で唯一の開閉式可動橋でも知られる。今年のフェスティバルは、伝統、テクノロジー、農業、熱帯といった屏東の特色を組み込み、紺碧の海と空を背景に盛大に執りおこなわれる。全県33の町村もそれぞれの個性を生かしたランタンを出展する。屏東人の生命力が反映した祭典となりそうだ。
屏東は台湾海峡・太平洋・バシー海峡に面した長い海岸線と中央山脈の南端をかかえ、古来多様な民族が共存してきた。それだけに今年のランタンフェスティバルが個性的なものになりそうだ。台湾ランタンフェスティバルは近年は各県持ち回りで開催されるようになった。各地方が競って地力を発揮することから年々グレードが向上している。また観衆も世界中から集うようになり、いまや台湾を代表する文化イベントとなっている。
アクセス
フェスティバル期間中は混雑が予想されので、公共交通機関を利用したアクセスがおすすめ。台湾高速鉄道左営駅あるいは台湾鉄道屏東駅・林辺駅・潮州駅からは会場と結ぶシャトルバスが運行される。高雄星光埠頭から大鵬湾までの海上航路も増便される。海上からの鑑賞も魅力的かもしれない。滞在期間を多めにとり、ランタンフェスティバルをゆっくり堪能しつつ、南部台湾の旅を楽しみたい。
Date: 2019/2/19-3/3
Web: www.taiwan.net.tw/2019taiwanlantern/
大鵬湾国家風景区
2003年に設立された「大鵬湾国家風景区」は台湾本島西南部、屏東県東港鎮と林辺郷の境界にあたる。中核をなす天然の潟湖は面積532ヘクタールに達し、大鵬湾にかかる橋の眺望がアクセントとなっている。橋は毎日定時に開閉する。その瞬間シャッターチャンス。園内は生態保護区が設けられ、多様な生態が観察できるほか、水上・陸上の多彩なアクティビティが楽しめる。湖面が穏やかなため、インストラクターの指導を受けながらヨットやウィンドサーフィンに挑戦できる。台湾初の国際サーキット場も設置され、エンジン音を響かせて走り去るレーシングカーも名物の一つ。水上飛行機の形を模した展望台は、八階建ての高さがあり、湾の全景を俯できる。
※開橋時間:
夏季(3月-9月)土・日曜17:00より
冬季(10月-2月)土・日曜16:30より
大鵬湾国家風景区管理処
Add: 屏東県東港鎮大潭路169号
Tel: +886-8-833-8100
Access: 高速鉄道左営駅から台湾好行バス「墾丁快線」に乗車。大鵬湾下車後はタクシーか徒歩。詳細はwww.taiwantrip.com.tw 。
東港
大鵬湾は台湾本島南端の東港渓の河口に位置し、清代から海運で繁栄した港町だった。現在は重要な漁業基地として知られ、ぜひ「華僑市場」を訪ねたい。クロマグロの刺身、カジキ団子、サクラエビの点心など地元の新鮮な海の幸が堪能できる。
東港漁港漁産品直売センター(華僑市場)
Add: 屏東県東港鎮朝隆路39号
Open: 11:00-20:00、第一火曜定休
立ち寄りスポット—小琉球
屏東県東港鎮の西南方に浮かぶ離島「小琉球」は台湾で唯一の珊瑚礁の島だ。島上は自然の生態が多様で、なかでも「花瓶岩」は人気の撮影スポットになっている。南部は断崖、西部は砂浜が多い。年間を通して海のレジャーが楽しめる希少なスポットで、ぜひダイビングにチャレンジし、カラフルな海中の散歩を楽しみたい。
Access: 東港からフェリー利用。約30分で小琉球白沙漁港か大福漁港に到着。電動バイクをレンタルするか、徒歩で各スポットへ。
立ち寄りスポット—MRTで高雄観光
台北から高雄・左営駅まで高速鉄道で90分だ。下車後はすぐにMRTか路線バスに乗り換え、観光スポットへ直行できる。左営は古い町で、今も二百年近い歴史を有する東門城壁が残る。高速鉄道の終着駅になったことから、近年は多くの観光客が立ち寄る場所になっている。左営からは「蓮池潭風景区」へのアクセスも便利。美しい湖畔の景観を眺めながら、池をサイクリングで周遊できる。台湾ならではの宗教施設「龍虎塔」は、左が龍塔で、右は虎塔。見学時には龍塔から入り虎塔から出るのが習わし。魔除けの意味があるという。毎年蓮池潭で開催される「左営万年祭」は、ユニークな幸福祈願の儀式「迎火獅」でも広く知られている。
かつては工業都市だった高雄も、近年は観光と文化に力を入れている。高雄港沿岸を「亜洲新湾区(Asia’s New Bay Area)」にするべく、高雄市立図書総館、高雄展覧館が建設され、「海洋文化・流行音楽センター」「クルーズセンター」といった重大投資計画が予定されている。また台湾初のライトレールが開通し、高雄MRT網とあわせて利用すれば市内観光が至便になった。高雄はいま世界に向けて窓を広く開けているといえる。ライトレール(路面電車)の沿線には大魯閣草衙道、MLD台鋁、夢時代といった大型モールが立ち並び、思う存分お買い物が楽しめる。MRT西子湾駅からフェリーに乗れば旗津半島へ渡ることができる。細長いビーチで水と戯れ、高雄港の景観を満喫しよう。
蓮池潭
Access: MRT左営駅から301路線バスで「蓮池潭」下車すぐ
立ち寄りスポット—鉄道の旅
台湾西部幹線の南端にあたる「屏東線」は、屏東駅から枋寮駅までを指す。中間に大小十余りの駅があるが、中でも屏東駅と潮州駅が交通の要衝だ。都市部からひなびた海辺の街へと移り変わる風景が印象的な鉄路の旅となろう。
屏東駅近くの「勝利文創パーク」はかつて国軍の軍人家族が暮らしていた集落跡。今はアーティストに開放された文化スポットに生まれ変わり、随時作品展が開催されるほか、カフェやユニークなショップが続々進出し、多くの若者たちでにぎわうようになった。屏東駅に次ぐ規模をもつ潮州駅の名所といえば、地元の人たちの進行の拠り所となっている「三山国王廟」。周辺の街道には、アイスデザート店、カフェ、青草茶専門店などご当地B級グルメの店がひしめき、午後の散策に最適だ。
勝利文創パーク
Add: 屏東県屏東市青島街106号
Access: 台湾鉄道沿線の各駅