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特別企画--花蓮 時を超えた移民村の魅力

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文/大原弘達 写真/季子弘・視野創異行銷

台湾の東海岸、太平洋に面しその地を南北に長く伸ばす花蓮。国内最大の面積を占めながらも中央山脈、海岸山脈という山岳が聳え立ち平地は一割にも満たないというこの地は大自然に恵まれ、壮大な大理石の渓谷「太魯閣渓谷」や雄大な景色を誇る「鯉魚潭」は観光客を引きつけて止まない。自然豊かなこの土地は観光地としてだけでなく昔から移民地として多くの人が集まるのだ。


市街地にみえる新たな生命力
花蓮市
観光地お決まりのお土産屋が溢れる賑やかな市街地には近年若者が集い独創的なお店たち創り上げている。文化活動の中心となっている「花蓮鉄道文創園区」周辺、美味しい台湾小吃が集まるこの地区にちらちらと見え隠れするおしゃれなお店たちは見た目だけでなく新しい若者の意思に溢れていた。

花蓮の興味深い人、事、物を世に伝えようと精進する「O`rip」は定期出版される雑誌のみならず、現地の工芸品を紹介する独自のセレクトショップや毎月催される花蓮を巡る個性的なツアーと独創的な企画が盛りだくさん。他にも発展途上国の生活を支える取り組みとして注目されるフェアトレード製品を専門に扱う「花蓮繭裏子」、情緒豊かな日本時代に建てられた木造家屋を改装した「時光二手書店」等、花蓮を市街地の中に新たな息吹が顔を覗かせていた。

今回、花蓮市街を案内してくれた方凱平さんも花蓮の魅力にとりつかれた若者の一人である。

「花蓮は夢見る若者が集う場所でもあるんだ。」そう言って、連れてきてくれた場所はカフェ「Hygge」。レザークラフトのお店「回春」と協力し合い共同で物件を借り経営している写真愛好家の穴場でもある。

「花蓮ではこうやって皆が協力しあって夢を追う姿は決して稀じゃない。僕らはいつだって共に学び、共に支え合いながら生きているんだ。」この地に移り住んで6年になる彼も、この地で写真を学び、翻訳や記事を書くかたわら今では写真を人々に教えているのだという。彼は語る。

「皆んながもっと気軽に作品を発表できる環境を作っていきたいと思う。何もかもが飽和した大都市に対してこの場所にはまだ多くの可能性があると思うんだ。」

都市生活の圧力や喧騒を逃れこの地にやってくる夢追い人たち。それは穏やかな老後生活を望む中高年者だけでなく若者にまで至っている。これだけ外来の人々を惹きつけてやまない花蓮、一方で地元の人たちに花蓮には何があるのかと聞くと、彼らは決まって笑いながら答える。「花蓮にはすることなんて何もないよ。海や山があるだけさ。」

海や山、大自然に囲まれたこの地の魅力、それはきっと住人達も忘れてしまうほどに豊かな日常の中にあるのではないだろうか。「生活」。そう、それが移民地としての注目される花蓮に宿る本当の魅力なのかもしれない。少なくとも僕は穏やかな彼らの表情にその魅力の正体を垣間見た気がした。

O`rip 生活旅人
花蓮の文化情報の発信地
現地の工芸品、雑貨の販売に雑誌の出版。時には花蓮を廻る旅のイベントまで。レクチャーなどイベント満載なので要チェック。

Add:花蓮市節約街27号
Tel:+886-3-8332429

Cafe Hygge
写真愛好家の穴場
美味しいスイーツにコーヒー。それだけでなく、写真の展示会もしばしば行われている。

Add:花蓮市国民街38号2階
Tel:+886-926363247

繭裹子
フェアトレード商品を推進する雑貨屋さん
世界各国で作られる洋服やおもちゃや食器やら。手作りならではの可愛いユニークなアイテムが見つかるかも。

Add:花蓮市博愛街213号
Tel:+886-3-8311755

Cafe Fiore 咖啡花
たくさんの草花が飾られたお洒落なカフェ
美味しいスイーツとコーヒーが話題のお店。店内のドライフラワーの飾りつけはオーナー自身によるもの。

Add:花蓮市忠孝街79号
Tel:+886-3-8325172


一碗小
花蓮一有名なさっぱり系麺屋さん
新鮮な牛肉や羊肉を用いた軽やかな口当たりのスープはまさに試す価値あり。

Add:花蓮市仁愛街94-1号
Tel:+886-3-8326015


美琪烤玉米
地元の人がこよなく愛する焼きトウモロコシやさん
時間をかけてゆっくりと作り上げる懐かしの味。

Add:花蓮市中正路396号美琪ホテル横
Tel:+886-933798385


花蓮市観光スポット

花蓮文化創意産業園区
日本時代の醸造所を文化スペースにリニューアルし、展示会場・小劇場として再利用されている。かつての事務室はビジターセンターにしつらえ、園内に多彩な商店や食堂を進駐させている。花蓮では若者たちに人気のスポットだ。

Add:花蓮市中華路144号
Open:9:00-17:00 月曜休館

軌道跡を歩く
花蓮市中心部に設置された歩道。かつての市街地と旧駅を結ぶ軌道跡、全長約1.8キロ。懐かしい老舗が甦り、節約街と光復街一帯には個性的な商店が続々進出して、楽しい買い物に時間を忘れそう。

Location:中山路・節約街交差点

鉄道文化園
花蓮旧駅、日本時代の鉄道部花蓮港出張所のほか和風官舎や土木事務所など簡易鉄道時代を偲ぶ遺跡がのこる。現在館内では鉄道にまつわる文物や模型が設置され、広場では週末になるとバザールが開設される。

Add:花蓮市中山路71号
Open:8:30-12:00・13:30-17:00 月曜休園

石芸大街
花蓮石芸協会が企画した商店街。花蓮特産の鉱石・宝石のほか各種石彫商品を一堂に集めた。花蓮は近年「墨玉」を素材にした彫刻品が注目を集めている。石彫博物館主催で特別展が開催されたほか、七月の台湾美食展では「墨玉」を使った各種食器に名シェフによる料理を組み合わせた展示が予定されている。花蓮の「墨玉」にとっては晴れの舞台となる。

Location:花蓮市博愛路・重慶街交差点


壮大な自然に囲まれて 

民宿 梯田山
二つの山脈に囲まれた花東縱谷に位置する寿豊郷、元は原住民のアミ族が狩猟、採集を中心とした生活を送っていた地域である。日本植民地時代に移民村として当時多くの日本人がこの地に移り住んだというが、今では日本の残した面影もほとんど見当たらない。

黄昏時、夕日も沈み夜が闇を深めるその頃に、村の東西に聳える山岳の一つ中央山脈の麓からある一本の細い山道を車で駆け上がる。「千と千尋の神隠し」の序庁に千尋たちが家族と迷い込むあの深い森の様に奥へ奥へとただ続く道は、まるで僕たちを別世界へと引き連れていくようにして、心は期待と不安に煽られながらただ運命に身を任せ前へと進む。すると、灯りが見えてきた。僕ら迷い人を迎える灯り同時に目に飛び込んできたのは可愛らしい欧風建築と静寧な農村の夜景だった。
 
「自然に満ちた花蓮は金を稼ぐために生きる大都市とは違い生活を獲得する場所なんだ。」

以前台北でインテリアデザイナーの仕事をしていたというここ「梯田山」のオーナー李玠岳さん。日々度重なる仕事の山に明け暮れていた当時、縱谷平原の全景が見えるというお寺の話を聞き友人と共にこの地を訪れたという。その時、目の前に広がるその光景に心打たれ、かつて若き頃、高校時代の同級生二人と共に誓った約束が頭をよぎった。

「いつか三人で一緒に土地を買い家を建てて住もう。」

以降、山上の穏やかな縱谷平原に臨むこの地を見つけ二人の旧友と共に金を出し合いこの場所にそれぞれの家を建てたという。早期退職を決意した李さんは一足先にこの地に移り住み、友人が退職しやってくるまでの間、空き家を民宿として経営することに決めたのだそうだ。

「花蓮ではやりたいことはなんだってできる、時間をゆっくりかけて思い通りの生活を築き上げるんだ。」

本職の腕を発揮し細部まで徹底的に築き上げたこのオランダ風建築、李さんの生き方を物語っているのはそれにとどまらない。自ら研究しじっくり時間を凝らしながら手間暇かけて作り上げるヨーロッパの郷土料理、お客様をもてなすこの上ないご馳走は味覚を通して李さんのこの地に宿る生活の魅力を伝えているのだ。


梯田山
オランダ風建築のお洒落な宿
隅から隅まで異国情緒漂う欧風建築で静謐な時間を。朝食付き。主人特製の夕食は事前予約が必要。

Add:寿豊郷豊山村山辺路二段83巷12号
Tel:+886-910156103


寿豊郷の観光スポット

寿豊文史館(豊田移民村)
日本時代を通じ、東台湾には続々と日本人移民村が設置された。花蓮県寿豊郷の豊田移民村はその一つで、往時の面影を留める建物も少なくない。かつての警察署が「寿豊郷文史館」に生まれ変わり、多くの文物や資料を展示している。

Add:寿豊郷豊裡村中山路320号

立川漁場
地下水を使った立川漁場では、黄金蜆・金鱒・香魚(アユ)などを養殖している。名物の「黄金蜆」を原料に「蜆精(シジミエキス)」などの健康食品を販売しているほか、シジミ狩りも体験できる。併設の「五餅二魚」食堂では新鮮な養殖魚を使った名物料理が楽しめる。

Add:寿豊郷共和村魚池路45号
Tel:+886-3-8651333

鯉魚潭
花蓮県内最大の湖水。湖畔を散策したり、ボートやサイクリングが楽しめる。周辺には食堂や商店が立ち並び、名物や小吃を販売している。

Add:寿豊郷池南村環潭北路100号
Open:8:30-17:30(ビジターセンター)
 


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