みなさんこんにちは。このコラムでは、台湾常連観光客である私(胖太子)の目線から見た台湾のよいところやよいものなどを「台湾の光」として読者の皆様にお届けしています。
先日、仕事で知り合った友人に会うため、台湾北東部の宜蘭県を訪れる機会がありました。宜蘭は台北からバスや鉄道で1時間ほど東へ行ったところにあり、テレビ東京系ドラマ「孤独のグルメ」の主人公・五郎も食べた「三星葱」など様々な美味しい野菜がとれる土地として有名です。台北から日帰りでもよかったのですが、有名な礁溪温泉を楽しみたかったこともあり、その日は礁溪温泉に泊まり、友人が「特別な夕飯」をごちそうしてくれることになりました。
「特別な夕飯」という言葉に胸を高鳴らせて入ったお店は「食光寶盒蔬食主題館」といい、ベジタリアン料理を提供しているお店でした。「ベジタリアン料理」というと、野菜をすりつぶしてペーストにしたようなものばかりなのではないかと危惧していたのですが、礁溪温泉きっての高級ホテル・礁溪ロイヤルホテルの料理長を務めたことのあるシェフによるその日の地元の取れたて野菜を使った地産地消のベジタリアン料理はどれも新鮮で、野菜だけでできているとは思えないほど美味しく、私のベジタリアン料理に対する印象を根底から覆すものでした。同行した年上のグルメな友人も「今度は妻を連れてきたい」と大絶賛でした。
台湾でベジタリアン料理が盛んになったのは、仏教など信仰上の理由で肉食を忌避する人がいるということの他に、健康への関心が高いということもあるでしょう。一説によると台湾の人口の10%程度がベジタリアンだとされており、その人たちの胃袋を満たすべく台湾の町中には非常に多くの「素食(蔬食)餐廳」と呼ばれるベジタリアンレストランがあり、料理を競い合っています。
「素食」という文字だけを見るとなんだか素っ気ないつまらない料理に思われるかもしれませんが、野菜やキノコなどを使って肉や魚に近い食感を楽しめるよう料理人による様々な工夫が料理に施されており、料理を食べながら何の食材が使われているのかを当てながら食事を楽しむというのもとても面白い体験です。いつもの台湾での定番メニューに飽きてきたら、台湾の大地と太陽の恵みを受けたヘルシーなベジタリアンレストランを食事の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。日本ではなかなかない食体験を味わうことができると思います。
<著者紹介>
胖太子(ぱんたいず)
仕事で台湾を訪れるうちに、いつしか仕事を忘れて台湾を訪れるようになった日本人。最近は季節に1回どころか月に1回台湾を訪れないと発作が起きる。外見は「電音三太子」にそっくりとかなんとか…。