企劃構成/朱佳雯 文/季子弘‧視野創異行銷 写真/季子弘‧視野創異行銷
台北という町は「艋舺(バンカ)」の河畔、つまり現在の万華区にその原点を求めることができる。かつてこの地は台湾北部への物資の集散地として賑わい、発展の糸口となり、生活文化が育まれた。近年当地はたびたび映画やドラマの舞台に取り上げられるほか、自治体でも活気を取り戻そうと再生のプロジェクトを進めてきた。
万華をじっくり味わうなら、赤レンガの通りを歩いて史跡や寺廟を巡り、風土を産んだ歴史を感じ取りたい。華西街や南機場の夜市は、庶民の味の宝庫。台北市民の食の原点も探訪しよう。
1. 剥皮寮歴史街
十九世紀の街並みが保存されている希少なエリア。かつて貿易と交通の要衝として栄えた証のように、各所に古い洋館が残る。現在古い街並みと町屋は展示スペースとして再利用されている。
Add:康定路173巷
2. 龍山寺
一七三八年の創建。一貫して台北市民の信仰の中心であり、その建築は寺廟芸術の精髄といえる。元宵節には色とりどりの灯篭が展示され、四月の潅仏会(花祭り)、七月の盂蘭盆会には、盛大に祭事が執り行われる。
Add:広州街211号
3. 青山宮
当地でもっとも古い寺廟の一つで、台湾三級史跡。町の治安と住民の健康を守る「青山王」が祀られている。旧暦十月二十二日には青山王の生誕を祝う祭典が行われ、当日は周辺の各寺廟もあわせてお祝いをするしきたり。艋舺という町を代表する一大宗教イベントといえる。
Add:貴陽街二段218号
4. 莽葛拾遺
龍山寺付近にある古書店。店鋪は百年の歴史を有する福建風古民家で、店内の飾りつけも情緒たっぷり。カウンターではコーヒーや伝統の菓子を提供している。
Add:広州街152巷4号
5. 九段工坊
レトロな中国服飾専門店。昔ながらの綿・麻や手染めの生地を素材に使っている。店内はまさにチャイナドレスとその小物のテーマパーク。二代目の主人は、伝統の衣装に最新のトレンドを取り入れ、その斬新なファッションスタイルが幅広い世代に歓迎されている。
Add:和平西路三段110号
6. 青草巷
万華西昌街一帯を指し、百年前から漢方薬・生薬店が軒を並べていた一角だ。各種生薬の材料が並ぶ店内は興味深い。疲れたら暑気払いの効果がある青草茶や各種ハーブティーを賞味しよう。
Add:西昌街224巷
7. 糖廓文化園区
日本時代、台湾北部最大だった製糖工場「台北製糖所」跡。二〇〇二年に公園として再生された。園内にある三棟の倉庫は市の史跡に指定され、糖業文化の展示空間になっている。
Add:大理街132-10号
8. 台北市郷土教育センター
剥皮寮歴史街にあり、前身は日本時代、呂阿昌医師の宅邸だった。診療所だった空間を利用して台湾の近代医療史を紹介するほか、この町の盛衰を記録した文物・史料を展示している。
Add:広州街101号
華西街夜市
龍山寺そば、台湾初の観光夜市。各種海の幸や山の幸のほか昔ながらの軽食が勢ぞろい。海外からのツーリストにも人気のスポットだ。中国伝統の牌楼(ゲート)が入り口にそびえ、道沿いに赤い提灯がずらりと吊られている。両側に並ぶ店には三十年以上の歴史を持つ店も多い。
小王瓜仔清湯
Add:華西街17の4号
Open:9:00-20:00、火曜定休
阿猜嬤甜湯
Add:華西街3号
Open:15:00-22:00
南機場夜市
「南機場」は、戦前は日本軍の飛行場があったところ。松山飛行場と区別するために、南機場と呼ばれていた。戦後、住宅が建ち、人が大勢住むようになって、今のような夜市ができた。
暁迪筒仔米糕
南機場夜市の入口にある。人気メニューは排骨酥湯(バラ肉から揚げ入りスープ)と筒仔米糕(蒸しおこわ)で、まさに台湾南部の味が楽しめる。排骨酥湯のバラ肉は香りよく揚がっているし、冬瓜はとろけそうに軟らかい。チリソースをかけるといっそう香ばしい。
Add:中華路二段307巷
Open:11:30-22:30
来来水餃
Add:中華路二段309巷9号
Open:17:00-23:30
東三水街市場
前身は日本時代の新富市場。古い建物が残るほか、の三水街沿いの店舗はいまも活況を呈し、万華の人たちの台所となってきた。当地の人びとの暮らしぶりを観察し、伝統の軽食にチャレンジしてみたい。
阿婆油飯
東三水街市場の中段にあり、営業は午後二、三時頃まで。油飯(台湾風おこわ)の専門店だが、当店は、ごま油を加えておらず、あっさり味でしつこくない。人気の手作りもち米ソーセージも必ず買いたい逸品。
Add:三水街70号
Open:8:00-15:00
源味香食品
東三水街市場の入口にある。肉のでんぶ・干し肉・アーモンド入りポークジャーキー・ベジタリアン用肉でんぶなど、各種肉の加工製品を取り扱う。四十年以上販売を続け、今では当地住民の生活に欠かせない食品になっている。観光客のお土産としても人気だ。
Add:東三水街市場4号
Open:8:30-20:00
日本時代の市場-新富市場
万華の新富市場は、一九三五年に、新しい衛生基準に基づいて建設された現代建築様式の公設市場。馬蹄型をした建物、中央の自然採光の天井、当時は最先端の建築スタイルで、台北市発展の象徴でもあった。今は市の史跡に指定され、当地の歴史を紹介する展示スペースとして利用されている。