台中.海線
台中市は東シナ海に面する。南北縦断鉄道が走ることから、開通当時から海岸線は俗に「海線」と呼ばれてきた。急速な変貌を見せる都心に比べ、ここには庶民の暮らしと自然が豊かに残っている。夕景の名所「高美湿地」、媽祖の巡行で著名な「大甲鎮瀾宮」を擁し、農業、漁業がいまも盛んである。
高美湿地
大甲渓南岸に位置する高美湿地は、秋から冬にかけて、渡り鳥の中継、越冬地となるほか、水生植物やシオマネキも生息することから、700ヘクタールに及ぶ生態保護区と木道が設けられている。付近には自転車と歩行者共用の橋があり、展望台からは日没の美景を楽しめる。
高美湿地www.gaomei.com.tw
鎮瀾宮
鎮瀾宮は1732年に創建され、大甲地区住民の篤い信仰を集めてきた。内外に壁画や石彫などの精緻な装飾が施され、正殿には大甲媽祖神、註生娘娘、観世音菩薩などの諸神が祀られている。媽祖の誕生日にあたる旧暦三月になると、四つの自治体にまたがって神像と信者の巡行が繰り広げられる。9日8晩にわたって練り歩き、途中各地の媽祖廟を経由して、最後に鎮瀾宮に戻る。近年は、若者やツーリストも加わり、国際的民俗イベントに発展している。
Add: 台中市大甲区順天路158号(大甲駅より徒歩)
阿聡師芋頭文化館
菓子職人呉聡朝は20年前、大甲産のタロイモを使って芋頭酥(イモケーキ)を発明し、一世を風靡した。その後、近くの大安区に観光工場を設立して、台湾のタロイモと大甲の菓子文化を紹介している。館内ではイモケーキ作りのDIY教室も開催されているのでチャレンジしてみたい(要予約)。
Add: 台中市大安区興安路168号(大甲駅よりタクシー)
Tel: +886-4-26713077
Open: 08:00-17:00
雲林 北港&虎尾
台湾中部の南端に位置する雲林県も、著名な媽祖廟(北港・朝天宮)を擁し、信仰のメッカと目され、独特の工芸文化を花開かせた。高速鉄道の駅が開業したこともあり、近年は海外からも多くのツーリストが訪れることから、日本時代の建築をリニューアルして博物館や書店、カフェとして再利用されるなど、地道な観光開発が進む。
好神文創
オーナーは敬虔な媽祖の信者で、日頃から宗教グッズをコレクションし、身近な生活商品を創作してきた。匂い袋(御守り)や、ミニチュアの神輿、仏像フィギュアなど、珍しいものばかりだ。
Add: 雲林県北港鎮中山路102号
Open: 10:00-20:00
諸元内科診所
北港にある古い医院の三階にある小さな庭は、知る人ぞ知る秘密の名所。庭中にサボテンが植えられ、交趾焼の巨大な作品が立ちならぶ。鮮やかな色彩と大胆な造型、そこはまさに幻想の世界だ。
Add: 雲林県北港鎮中山路125号
Open: 平日8:00-21:00(昼食、夕食時間帯除く)、週末8:00-12:00
雲林布袋戯館
建物は日本時代の台南州虎尾郡役所。当時の行政センターが改装されて人形劇の博物館になった。台湾布袋戯を代表する人形使いとその一族の発展、定番の登場人物、当時の写真などが展示されている。
Add: 雲林県虎尾鎮林森路一段498号
Open: 10:00-18:00 月曜、火曜休館
虎尾厝沙龍Huwei Salon
1940年代に建設された和洋折衷の建物を書店、アートサロン兼レストランとして再利用している。オーナーの本業は骨董家具商で、店内に19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパ家具が並ぶ。
Add: 雲林県虎尾鎮民権路51巷3号
Open: 平日13:00-21:00、土曜11:00-22:00、日曜11:00-19:00、月曜定休
Web: www.huweisalon.com
嘉義
嘉義は台湾南部でも重要な農、漁業県で、故宮南部分院の開幕により文化スポットとしても注目されている。2018年の台湾ランタンフェスティバルはこの故宮南院周辺で開催される予定だ。昼は博物館を参観し、夜はロマンチックなランタンの祭典を鑑賞したい。
故宮博物院南部院区
2015年末、高速鉄道嘉義駅付近に故宮南院が「アジア芸術文化博物館」としてオープンした。常設展、特別展のほか、日本、韓国など各国の博物館から借用した文物も展示する。建物と敷地も見ごたえがある。博物館は、水墨画をイメージして設計され、展示室、文物庫、公共スペースからなる。中華、インド、ペルシャの三大文明の融合を通してアジアの多元性を紹介する方針である。人工湖にかかる橋は草書の趣きを取り入れ、人々を厳かに奥の建物へ誘う。嘉義を訪れたら、伝統と現代が見事にコラボした美の殿堂に足を運んでみたい。
Add: 嘉義県太保市故宮大道888号
Tel: +886-5-3620777
Open: 博物館9:00-17:00、園内8:00-21:00、月曜休館
Web:south.npm.gov.tw/ja-JP
Ticket: 一般NT$250
ネットで時間帯を予約し、当日現地でチケットを受け取る方法がお勧め
蒜頭糖廠蔗埕文化パーク
故宮南院北門から道路を一本隔てた向かいにある、百年以上の歴史を有する製糖工場を再利用した文化施設。往時から使われていたトロッコに乗れば、工場と周辺1時間の周遊を楽しめ、のんびり田園風景を満喫できる。園内は木造の駅舎のほか、礼拝堂、宿舎など、歴史的建築が点在する。自転車をレンタルして朴子渓サイクリングロードを走ってもいい。グルメなら、台湾糖業が経営する鍋店へどうぞ。当地伝統のアイスキャンディーは、皆がうなずく懐かしの味。
Add: 嘉義県六脚郷工廠村1号
Tel: +886-5-3800741
Open: 8:00-17:00、トロッコ10:00と15:00発車(団体は時間を予約)
Ticket: 園内は参観無料、トロッコは一般NT$100
台南.新化
台南の新化区はかつて「大目降(山林の意味)」と呼ばれる原住民シラヤの集落だったところで、1920年、台南州新化郡が置かれた際に「新化」と命名された。日本時代にできた商店街と老建築が残り、歴史が感じられる地区だ。
新化老街
新化は清代から商業が盛んで、日本時代に市街地の調整が進められ、現在の中山路、中正路といった商店街が形成された。中山路沿いの古い商店街は拡幅工事のため消滅したが、中正路には往時の米屋、布屋、漢方薬店、菓子屋が立ち並び、かつての賑わいが偲ばれる。
楊逵文学紀念館
楊逵(1906-1985)は、新化出身の著名作家。当記念館は2005年にオープンした。日本に留学し、農民・文化運動に捧げた生涯や、貴重な手稿、文学作品を展示、紹介している。
Add: 台南市新化区中正路488号
Open: 9:00-12:00、13:30-17:00、月曜・国定休日休館
街役場
1934年、初代町長自ら寄贈した土地に建てられた「新化街役場」は、
鉄筋コンクリート建築に、小石や貝殻の装飾材を組み合わせたアートデコ風。戦後も新化鎮の役場として使用されたが、いまは食事処「1934街役場古跡餐坊」にリニューアルされている。
Add: 台南市新化区中正路500号
Open: 11:00-22:00、月曜定休
大目降文化パーク
かつては新化郡役所の官舎として建てられた木造建築。2015年末に改装の上、文化施設として再公開された。園内の大目降故事館では、故事を語り継ぐ設備が利用できるほか、不定期に展示会も行われる。レストラン「真心食府」で販売する「乳液奶茶」は、紅茶にフラワーティー、牛乳を加えた滑らかな口あたりが人気だ。
大目降故事館
Add: 台南市新化区和平街29号
Open: 9:00-17:00、月曜定休
高雄MRT沿線スポット
高雄は台湾最大の港町として発展してきた。歴史・文化施設のみならず、ユニークなスポットやショップも少なくない。地下と高架のMRTのほか、台湾初の路面電車(LRTライトレール)も営業を始め、シティツアーが快適かつ至便になった。
鳳儀書院
鳳山駅から徒歩約10分の鳳儀書院は清代に建設され、教育施設・祭事・試験会場として使用されてきた。1985年に史跡の指定を受け、2009年から修復工事が始まり、2013年に再公開された。現在は、書院としての希少な歴史を紹介するほか、等身大の人形を使って学舎の様子を再現している。当時の衣装を試着して記念撮影をしたり、台湾茶と茶菓子も賞味できる。
Add: 高雄市鳳山区鳳明街62号 (MRT鳳山駅から徒歩約6分)
Open: 火曜-金曜10:30-17:30 (入場は17:00まで)
週末及び国定休日10:30-18:30 (入場は18:00まで)、月曜休館
Ticket: 一般NT$66
Web: fongyiacademy.khcc.gov.tw
MLD台鋁
MLD台鋁は高雄に登場したばかりの複合式ショッピングモール。80年前に世界第二のアルミ工場と言われた台鋁工廠が、レジャー、娯楽、文化、生活を一体化した施設としてリニューアルされた。内部の書店、映画館、マーケット、レストラン、結婚式場は、全てグループの自営。時計台を中心に据えた広場は安らぎのエリアとなっており、傍らには半オープンタイプのカフェがある。屋外では毎週水、木曜午後三時にリサイクルマーケット、金、土曜にアイデアバザールが開催される。
Add: 高雄市前鎮区忠勤路8号
Open: MLD Reading月曜-金曜11:00-22:00、土‧日曜10:00-22:00
Web:mld.com.tw
大魯閣 TAROKO PARK
大魯閣はショッピング、映画館、グルメとスポーツ、アウトドアレジャーを統合した新しいタイプのショッピングモール。ショップとバラエティに富む美食のほか、ミニゴルフ場、バスケットコート、ローラースケートリンク、バッティングセンターもあり、親子で楽しめるスポットだ。屋外に設置された鈴鹿F1サーキットのミニチュアでは、レーサー気分でスリルを体験できる。
Add: 高雄市前鎮区中山四路100号(草衙駅2番出口)
Open: 月曜-木曜11:00-22:00、金曜11:00-22:30
土曜10:30-22:30、日曜10:30-22:00(レジャーランド、映画館は現場の案内参照)
Web: www.tarokopark.com.tw
屏東 恒春 & 墾丁
墾丁は台湾最南端の屏東県にあり、美しい海岸線が魅力のリゾートゾーン。古い町並みか残る恒春は、墾丁の風情とはまた異なり、ゆったりとしたムードが漂う。恒春、墾丁を併せて巡り、屏東の二つの特色を感じてほしい。
恒春3000啤酒博物館 Hengchun 3000 Brewseum
博物館の名称「3000」は館長が集めた世界各地のビアジョッキ3000個にちなむ。入口では「BEER」のロゴがまず目に飛び込んでくる。こじんまりした敷地ながら、ビールの起源、発展、醸造の過程を紹介し、自家製ビールも提供している。
Add: 屏東県恒春鎮草埔路29-1号
Tel: +886-8-8881002
Open: 11:00-21:00、木曜定休
中国語のガイドあり、要予約
Ticket: 18歳以上100元、ショップの割引あり
Web: www.facebook.com/3000Brewseum
迷路餐桌計画
80年以上の歴史を有する、和洋折衷のバロック建築。日本時代はお茶屋、第二次大戦時は病院として使用されるなど、幾多の星霜を経てきた。原状を保ちつつ、レストランとして改築され、恒春観光に欠かせないスポットになった。一階手前の棟にある欧風ベーカリー「沃土Terreno」では、当地食材を使用した自製のジェラードが人気。二階のビストロ「波波廚房」ではパスタを提供する。
Add: 屏東県恒春鎮光明路88号
Tel: +886-8-8896575
Open: 1F 11:00-21:00、2F 11:30-21:00
白沙湾
貝殼を85%含む純白のビーチが500メートルも続く。海底が見えるほど澄み、砂質は細かく、南北両端はサンゴ礁岩だ。年中、水泳、ヨット、ダイビングなどのマリンスポーツを楽しめる。また、夕景がロマンチックで、星空の観察にも最適。秀麗な景色を求めて劇映画『パイの物語』や『海角七号』のロケ地にも採用された。