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コラムーー台湾行きっ戻りっ 第13回

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台湾有数の港町.南方澳でサバ祭リ

マンタやカジキも登場

帰りは冷泉でひんやりポカポカ

 

台湾有数の港町、宜蘭県蘇澳鎮の南方澳で 10 月上旬、サバ祭りが開かれた。サバをはじめとする豊富な漁獲高を誇る南方澳を PR しようと、宜蘭県政府が 10 年以上前から開いているイベント。国慶日(10 月 10 日)まで続く4連休に開かれたということもあって、道路が渋滞するほどの人出となった。祭りの後は蘇澳の市街地に戻り、冷泉へ。ひんやりして、しかもぽかぽかという独特の水浴でリフレッシュした。

 

南方澳は、日本統治期の 1923(大正 12)年に漁港が整備され、これを拡大しながら現在の規模に広がった。地図で見ると、船溜まりが三本指の熊手のように広がったユニークな形になっていることが分かる。

 

10 月のパレードは日本統治期に竣工した船溜まりに沿うように約 2 キロのコースを練り歩いた。大型のサバは多数ののぼり旗や「祝大漁」と染め抜いた旗の先導を受け、主役らしくしんがりを務めた。前のほうに目をやると、マンタ(大型のエイ)をかたどった覆いをかぶせた自転車などが進み、カジキ漁専用の漁船の模型はカラフルな風船が結わえ付けられて賑やかだ。

 

南方澳は信仰の拠点としても普段から人気だ。港の前に建つ南天宮は参拝客が絶えない。主神は航海安全の神、媽祖。それだけなら台湾に広く分布する寺廟のひとつにすぎないのだが、金(きん)の像を祀っているところがほかと違う。新北市と宜蘭県を結ぶ雪山トンネル(12.9 キロ)が 2004 年に開通し、台北方面からのアクセスも向上している。

 

サバ祭りのパレードは、南天宮の前も通過していく。廟前の広場では、のぼり旗を手にした若者たちがぐるぐると景気よく回った後、大型のサバは頭を廟のほうに向けてあいさつ。信仰に篤い港町ならではの光景だ。

 

パレードの見学を済ませ、次なる目的地、冷泉に向かう。

 

冷泉は台湾鉄道の蘇澳駅からほど近いところにあり、現在は改修中。正面玄関からは入れないが、表示に従って進むと、奥にある別の入り口にたどり着ける。

 

私は個室タイプの「湯屋區」に入ってみた。豊富な炭酸ガスを含む冷泉を独り占め気分で楽しめる。水温は約 22 度。どれほどの冷たさかは、実際に体験して確かめていただきたい。私が利用した個室の鄰からは、子どもが「冷たい」と大きな声を上げ、お父さんなのだろうか、男の人の声が「大丈夫」となだめていて、しばらくするとプールではしゃぐような声がしてきた、ということだけ記しておこう。

 

サバ祭りに登場したサバの形をした大型の飾り物=写真はいずれも 2017 年 10 月 7 日撮影

 

自転車に乗って?パレードに出現したマンタ

 

蘇澳の冷泉にあるプール型の施設。大人1人 70 元で利用できる(取材当時)

 

 

松田良孝(まつだ よしたか)


1969 年、さいたま市生まれ。北海道大学農学部農業経済学科卒。八重山毎日新聞記者などを経て、現在はフリー。石垣島など沖縄県と台湾の関係を中心に取材を続ける。著書の『八重山の台湾人』(南山舎、2004 年)は、2012 年に『八重山的台湾人』として中国語訳され、行人文化実験室(台北)から出版。共著に『石垣島で台湾を歩く:もうひとつの沖縄ガイド』(沖縄タイムス社、2012 年)。2014 年には小説『インターフォン』で第 40 回新沖縄文学賞受賞。


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