トラベル特集――高雄 茂林・六亀(後編)
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/季子弘・張晉瑞
高雄 茂林・六亀
台湾原住民族の里と温泉をめぐる旅
高雄市中心部から車で1時間あまりの高雄市北東部は、中央山脈南麓にあたる山岳地帯。壮麗な高山が連なる土地は、「港町高雄」とは全く異なる風情を見せる。今回旅するのは、台湾原住民族「魯凱族(ルカイ族)」が暮らし、世界的な蝶の越冬地としても知られる茂林(マオリン)、高雄の著名な温泉郷の宝来温泉と不老温泉を抱える六亀(リョウグイ)。まだ知らない、奥深い高雄の魅力を体感しよう。
おすすめコース
1日目:高速鉄道左営駅➡多納➡茂林
2日目:茂林➡不老温泉
3日目:宝来➡六亀➡高速鉄道左営駅
茂林部落
芭特芙萊 Butterflies
茂林区の入口に位置する「茂林部落(Teldreka)」もまた、ルカイ族が暮らす集落。「芭特芙萊 Butterflies」は茂林のシンボルである蝶が店名の人気カフェレストラン。店内にはルカイ族の生活をモチーフにした絵が描かれ、風情たっぷり。カフェとして営業するほか、予約制でルカイ族の郷土料理を提供している。
オーナーのDefdefsさん
こちらのカラフルな壁画もオーナーDefdefsさんの作品
「怎莫Zubo」は、もち米の中にタロイモ、サツマイモなどを入れ、爽やかな香りがする月桃の葉で包んで蒸しあげるベジタリアン粽。「部落香腸」は豚のひき肉やタロイモの粉などを詰めた原住民族のソーセージ。相思樹の薪で燻した香ばしい香りが特徴だ。野菜や山菜もすべて地元産。素材そのものを生かした滋味深い味わいを堪能できる。
特産品のお土産も販売している
食後は隣の資料館「茂林紫蝶3D視聴館」へ。ここではパネル展示や3Dシアターでルリマダラの生態について学ぶことができる。ビジターセンターも兼ねているので旅行の情報収集にも最適だ。
模型による冬の風景再現コーナー
ルリマダラ
3D上映室
3D視聴館入口
芭特芙萊 Butterflies
Add:高雄市茂林区茂林里1鄰16号
Tel:+886-960-806-702
Open:9:00-16:00、火曜定休
Ticket:カフェ利用:ミニマムチャージ:1人ドリンク1杯
WEB:www.facebook.com/maolin.butterflies
※郷土料理は5人分または10人分のコース料理。価格・内容は問い合わせ。通常は1週間前まで、11月-3月の蝶のシーズンは1か月前までに予約を。
茂林紫蝶3D視聴館
Add:高雄市茂林区茂林里1鄰16号
Tel:+886-7-680-1111
Open:茂林ビジターセンター:8:30-17:00
3D上映:平日は60分に1回、週末は30分に1回上映。
得恩谷生態民宿
キャンプもできる広場
ルカイ族のオーナーBan Deleさん一家が運営する自然豊かな民宿。かつて茂林のルカイ族の人びとは、ここを通りかかった際に渓流から拾ってきた美しい石をこの土地に置いて涼を取ったといい、「得恩谷」には「石の集まる土地」という意味があるそう。プライベートな滝もある広大な敷地内には、フクロウなどの野生動物も多く暮らしている。森の生態観察を行うナイトツアーも行っており、宿泊者は無料で参加できる。ガイドの先生と歩く夜の森には驚きがいっぱい。天気が良ければぜひ参加しよう。
敷地内にはプライベートな滝も!
ナイトツアーでは様ざまな動植物に出会える
宿泊棟はスレート家屋で、室内にはルカイ族の故事をモチーフとした壁画が描かれている。
宿泊棟
コテージ棟
母屋でいただく食事も大きな楽しみのひとつ。ビュッフェ式の夕食にはルカイ族の郷土料理が並び、朝食ではオーナーが早朝から仕込んで焼き上げた自家製パンがいただける。とくにフランスパンなどの欧風パンは都会の高級店にも負けない驚きの美味しさだ。食後は敷地を散策して、新鮮な空気を満喫しよう。
ルカイ族の郷土料理が中心の夕食ビュッフェ
オーナーBan Deleさんが作る欧風パンは絶品!
Add:高雄市茂林区茂林里138号
Tel:+886-989-579-751
Ticket:ビュッフェディナー:前日までに要予約、宿泊者NT$400(春節NT$500)
ナイトツアー:宿泊者無料
WEB:www.5658.com.tw/6801540/Default.htm
※環境保護のため歯ブラシなどは持参しよう。
六亀
山で美人の湯につかる
高雄市北部の六亀区は、客家人と閩南人が多く暮らす地域。区内を流れる「荖濃渓」の流域にある6個の巨大な岩石が6匹の亀のように見えることから、この土地は「六亀」と呼ばれるようになったという。北端には「美人の湯」として知られる「宝来温泉」と「不老温泉」を抱える。素朴な風情に癒される山の温泉郷だ。
Access:
1. 高速鉄道左営駅から高雄客運バスE25バスで「六亀」下車、H11バスに乗り換え「宝来」下車。
2. バスの本数が非常に少ないため、チャーター利用がおすすめ。
高雄客運バスwww.ksbus.com.tw
観光スポット
「宝来温泉」は六亀の最北端に位置する温泉の町で、梅の名所としても有名だ。町に入ってすぐの高台にある「老樹広場」の奥に温泉山荘が集まっている。
老樹広場は休憩にぴったり
老樹広場から見た荖濃渓と山並みの眺望
一番奥の「宝来花賞温泉公園」には手湯や足湯が整備されており、気軽に温泉を体験できる。泉質は弱アルカリ性炭酸水素塩泉で、温度は60℃前後。無色透明で、肌がなめらかになるため「美肌の湯」と呼ばれている。
2019年末には宝来花賞温泉公園にSPAエリアや更衣室が完成予定
宝来は梅の名所として有名
宝来から南に車で20分ほどの「六亀大仏」は、雄大な中央山脈を背に坐す大仏の荘厳な美しさで近年注目の新ランドマーク。道中にぜひ立ち寄りたい。
六亀大仏の高さは24m
老樹広場
Add:高雄市六亀区宝来街1号
宝来花賞温泉公園
Add:高雄市六亀区(宝来中学校後方)
Tel:+886-7-740-9803
Open:9:00-17:00
Ticket:手湯:無料、足湯:NT$50、月曜休園
六亀大仏
Add:高雄市六亀区新開路27-1号
Open:8:00-17:00
ご当地グルメ
宝来では、特産の梅を使った梅料理を味わおう。カリッと揚げたスペアリブに梅風味の醤油だれをからめた「蜜汁梅子排骨」、梅ソースをつけていただく揚げ豆腐「炸豆腐沾梅子醤」、山菜の梅酢あえ「山蘇拌梅醋」など、どれもさっぱりした味付けで白いご飯にあう。食後はもうひとつの特産品「愛玉子」のスイーツを。定番のレモン味や梅味のほか、コーヒードリンク仕立ての「咖啡愛玉」や優しい甘さの「紅豆愛玉」も人気。
ボリューム満点で2人でも多いくらい!
宝来小吃部
Add:高雄市六亀区中正路34号
Tel:+886-7-688-1125
Open:07:00–21:00
36咖啡愛玉
Add:高雄市六亀区中正路36号
Tel:+886-7-688-1149
Open:09:00–21:00
華興製茶
オンリーワンの特産品
オーナーの劉文華さんは40年以上の経験を持つ製茶師。自然農法または海抜1000m以上の高山で自生する台湾原産大葉種「喬木山茶」の茶葉を伝統技法で製茶し、花のような蜜の香りを持つ特別なお茶を作り上げている。なかでも国有林で採取する「喬木野生茶」を使ったお茶は台湾で唯一、ここだけでしか手に入らない希少品だ。
オーナの製茶師・劉文華さん(阿華師)
自然のままの茶葉を使う製茶は熟練の技術が必要
茶葉の優れた品質は海外でも評価が高く、フランス農産物振興庁(AVPA)が選出する「AVPA国際ティーコンテスト2019」で銀メダル・グルメ特別賞を受賞、優れた味覚と品質を持つ食品と飲料品に対するベルギーの国際認定「2019優秀味覚賞(Superior Taste Award)」も受賞している。
国有林で採取した茶葉であることを示す証明書
Add:高雄市六亀区和平路145-1号
Tel:+886-7-679-1008
Open:7:00-21:30
WEB:www.huaxing6688.com
※日本への発送可
不老温泉渡假村
PU-LAO HOT SPRING HOTEL
おすすめ温泉ホテル
「不老温泉」は弱アルカリ性炭酸泉で、源泉の温度は年間を通して約48℃ほど。無色無臭で飲用もでき、皮膚病や疲労、筋肉痛に効果があると、古くから地元住民や登山客に愛されてきた。入浴後は肌がつるつるになり、若返る「不老不死の湯」としても知られる。
「不老温泉渡假村」は40年あまり前に高雄市初の温泉ホテルとして開業した。屋外温泉SPA施設のほか、客室内の温泉浴槽で温泉浴が楽しめる。プールやサウナ、レストラン、カラオケ、売店などの施設も充実しており、1日中ゆったり過ごせる温泉ホテルだ。
Add:高雄市六亀区新発里新開路82号
Tel:+886-7-679-1888
WEB: www.pu-lao.com.tw
※屋外温泉SPA施設は基本的に休日のみ営業。平日については問い合わせを。
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。