台北「東門駅‧古亭駅」
文化の香りいっぱいの街道
企画構成/朱佳雯 文/朱佳雯‧劉宛昀 写真/宋育玫‧張馨尹
MRT東門駅の営業開始以降、永康界隈はいっそう賑わいを増している。小籠包やマンゴーアイスの有名店をはじめ、行列のできるスポットが密集。永康街から青田街・麗水街・潮州街一帯へと足を向けると、日本時代の建築群が残り、歴史を感じさせる懐かしい雰囲気もある。路地裏に点在するカフェ・書店・ギャラリーも一つの特色。のんびりしたリズムを感じ、この町が辿ってきた足跡と路地裏の情緒に触れてみたい。
Access: MRTで東門駅かMRT古亭駅まで徒歩約15分。
東門駅周辺
グルメスポット
2006年に永康街にオープンした人気の台湾居酒屋。台中出身の曾さんは家庭料理を伝承したいと開店を決意。店内はレトロな風情がいっぱい。オーナーは熱心に接客し、小さな店はにぎやかで、まるで自宅に帰ったかのようにみんなくつろいでいる。最近始めたビジネスランチの新メニュー「豆豉牡蠣」は濃厚な豆豉ソースがご飯にぴったり。「柚醋魚皮」は柚子酢と弾力に富んだ魚の皮を合わせ、ビールによく合う。「鹹魚蒸肉餅」は塩漬けの魚と豚肉を蒸しあげたおつまみ。
Add:大安区永康街65号(大隠酒食満席の際に小隠私廚を開く)
Tel:+886-2-23432275
Open:11:30-14:00、17:30-22:00 月曜定休
予約:可/カード:可/サービス料:無/最低消費:無
台湾料理専門店、喫飯食堂は永康商圈で十数年続く。入り口のバーカウンター上には廚房で毎日使用する新鮮な食材が並んでおり、一目了然。英語、日本語のメニューもあり、外国人にも便利だ。注文は単品制で、料理は各種台湾家庭料理と海鮮がある。外皮がさっくり、餡がふわふわの「芋巻」はペースト中にタロイモを混ぜ豊かな食感が楽しめる手の込んだ料理。一番人気の「煎豚肝」はレバーを卵白・醬油・米酒・胡椒に漬け込む。卵白が食感を柔らかくし、しょうゆ味でご飯が進む。「鹹蛋花椰菜」は鹹蛋(アヒルの卵の塩漬け)でソースを作り、カリフラワーにかける。鮮やかな彩で食欲も刺激される。
Add:大安区永康街8巷5号
Tel:+886-2-23222632
Open:11:00-14:00、17:00-21:30(L.O.21:00)
8人以上予約受付/現金のみ/サービス料:無/最低消費:一人NT$200
cafe+軽食
自身はインテリアに従事するSusanはフランスの菓子への傾倒が高じて2006年、麗水街に「珠宝盒」をオープンした。フランスパン・焼き菓子・スイーツ・チョコレート・フルーツゼリーなど、いずれも化学添加物を加えない手作りが売り物。お薦めのパンは「玫瑰花園可頌」。イチゴとカスタードクリームのクロワッサン。スイーツのお薦めは「普羅旺斯Tarte Citron」。レモンバターの甘酸っぱさが魅力。ハート型の「芙蘿Mousse Fromage Blanc」はパイナップルとマンゴーのジャムを使った台湾ならではの逸品。
麗水店
Add:大安区麗水街33巷19号之1
Tel:+886-2-33222461
Open:10:00-21:00 最終月曜定休
Web:www.boitedebijou.com.tw/boitedebijou2
P.S.テイクアウト専門店
著名ベーカリー「珠宝盒」が2014年に立ち上げたブランド。オーナーは長年欧米を旅して当地の御惣菜屋にはまり、テイクアウト形式を台湾に導入した。すぐに食べられる総菜のほか、野菜やバルサミコソース・ミシュラン三星シェフ自製ソースを販売する一方、カフェエリアでは無国籍料理とスイーツ・フレッシュジュースを提供している。
メインディッシュ「ル・コルドン・ブルーポークチョップ」にポテトサラダとグアバジュース
Add:大安区青田街6巷15号
Tel:+886-2-23959388
Open:11:00-21:00 (LO20:30) 月曜定休
Web:facebook.com/Take5delitw
予約:可(火曜-金曜17:30後のみ受付)/カード:可/サービス料:無/最低消費:無/休日満席時にはお食事2時間以内
金華街の路地に入った古民家。一階の庭先が屋外のカフェにリニューアルされ、室内は店名とは対照的に骨董の家具が自在な雰囲気を醸している。ソフトドリンクのほかウイスキー・ビール・カクテルもそろい、コーヒーとスピリッツがコラボした「咖啡遇上酒(Coffee With Spirits)」、とくにウイスキーコーヒーがお薦めだ。店内ではハンドメイドのクッキーやケーキのほかおつまみ類も用意されている。
Add:大安区金華街243巷1号
Tel:+886-2-23567129
Open:月曜-土曜11:00-24:00、日曜12:00-18:00
予約:平日可/現金のみ/サービス料:無/最低消費:一人ドリンク一杯
歯科医の林于昉氏が創設した文物館を兼ねたカフェ。館名は自身の父親、林秋江と母親、陳淑恵の名から取り、二人を記念している。台北には多くの文物コレクションの空間があるが、一般人は近づくことも、手にとって見ることもできない。このため、林氏は台湾の民俗工芸品をテーマにした歴史館を開設し、自身のコレクションを公開している。ここでは近くで鑑賞し、手にとって見ることもできる。陳列の種類は多岐にわたり、貴重なポスター、古地図、清代の文献から漆器、神像、木彫といった工芸品までを含み、台湾の各時代の歴史を語ってくれる。参観は無料だが、併設のカフェではお茶やコーヒーを楽しむこともできる。
Add:大安区信義路二段178号3階
Tel:+886-2-23515723
Open:11:00-19:00 月曜休館
予約:可、休日は予約をお勧め/現金のみ/サービス料:無/最低消費:一人NT$120
買物
品墨良行は永康街に2軒の店舖を持つ。2012年に開設した一号店は「紙の材料室」と号し、各種紙類のほか、防油防水の紙製トートバッグ、エコロジーノートなどを販売している。二号店は手作り布製品、ガラス、陶器、クッキーといった生活雑貨がメイン。シーズンごとに新しい柄のハンドメイド布バッグを発売しており、どれも唯一無二のものだ。オーダーメイドの室内スリッパも人気商品。個人の好みで生地を選べば、一週間ほどで出来上がる。海外郵送も可。幼児用よだれ掛け、断熱ミトンなど創意工夫が凝らされた実用品も開発している。
品墨一店(路地内店)
Add:大安区永康街75巷10号
Tel:+886-2-23968366
Open:10:00-12:00、13:30-19:00
品墨二店(大通り店)
Add:大安区永康街63号
Tel:+886-2-23584670
Open:12:00-19:00
カード可(AEカード除く)
一針一線と来好雑貨鋪はそれぞれ店の一階と地下一階にある。一針一線は中国風商品を主とし、来好は台湾食品、生活雑貨を主とする。一針一線のメイン商品は、中国汶川地震の被災地に暮らす羌族の女性が製作した「羌繡」ファブリック製品。オーナーは被災民の生活を助けようと、色使いが大胆でモダンなハンドバッグ、iPadケースなどの刺繡類を台湾に導入した。さらに、濃厚な中国風の手描きパッケージの茶、切り紙キャンドルスタンド、紅包袋といった製品もある。地下室の来好雑貨鋪は、パイナップルケーキ、茶葉、ジャム、客家の花布財布など台湾の名産と土産品を網羅している。旅の記念品やギフトを買うのに最適だ。
Add:大安区永康街6巷11号 1階とB1
Tel:+886-2-33226136
Open:10:00-21:30
カード可
実業家兼画家の張耀煌氏が創立した茶芸館。典雅で静かな空間内では、至るところに彼の作品が見られる。展示棚には台湾陶芸家がデザインした急須と茶道具が陳列され、凍頂烏龍‧東方美人‧鉄観音‧包種茶など10種の台湾茶が販売されている。オーナー自作の絵を印刷したパッケージも指定可能だ。館内ではお茶請けに、手作りの南棗核桃糕‧ナッツ‧ドライフルーツを用意。茶道具のなかには屋外用茶道具携帯バッグもある。デザインも特殊で多くの女性客に愛されている。
Add:大安区永康街10巷10号
Tel:+886-2-23215119
Open:12:00-22:00、旧暦春節は除夜から五連休
予約:可/カード:可/サービス料:10%/一人少なくとも一種の茶葉を選ぶ。茶葉を持参の場合の茶水費はNT$200。
台湾伍中行
1945年の創業。前身は日本の西村商社。1900年西村武士郎は台湾で貿易業を営み、基隆、台北、台中、台南、高雄に支店設立し、清酒、茶葉、高級乾物を販売していた。終戦で西村氏は日本へ引き揚げ、会社を各支店の店長に任せ、台湾伍中行と改名した。現在は三代目。店内は高雅なインテリアで、当時の高級乾物店に迷い込んだようだ。主人は茶を深く研究し、自社茶園で烏龍茶を生産し、百年物の茶をコレクションしている。この他、五年醸造した醬油、台湾の懐かしい味の楊桃汁や烏梅汁も販売している。
1945年の創業。前身は日本の西村商社。1900年西村武士郎は台湾で貿易業を営み、基隆、台北、台中、台南、高雄に支店設立し、清酒、茶葉、高級乾物を販売していた。終戦で西村氏は日本へ引き揚げ、会社を各支店の店長に任せ、台湾伍中行と改名した。現在は三代目。店内は高雅なインテリアで、当時の高級乾物店に迷い込んだようだ。主人は茶を深く研究し、自社茶園で烏龍茶を生産し、百年物の茶をコレクションしている。この他、五年醸造した醬油、台湾の懐かしい味の楊桃汁や烏梅汁も販売している。
Add:大安区潮州街109号
Tel:+886-2-23926388
Open:12:30-20:30 日曜定休
Web:www.wuchunghang.com
古亭駅周辺
老建築を生かして
古亭駅周辺は日本時代、錦町と呼ばれていたが、「楽埔町」の前身は錦町にあった和風官舎跡。かつては公務員が使用していたが廃棄され、一年半のリノベーションを経て甦った。日本の庭園設計会社に依頼した庭を含め、2014年末に全く新しい顔で再登場。飲食を兼ねた展示空間で、曾啓雄教授と提携した各種植物染作品を各所に配置している。また不定期に台湾各地の作家の作品展を開催している。
楽埔町は食材専門家徐仲を顧問に迎え、和風の調味とフレンチの手法に地鶏、彰化永隆牧場の豚肉、生態養殖のエビや貝など台湾の食材をコラボさせている。ディナーではアメリカのPrimeビーフステーキ、カナダのボストンロブスターも提供。日本銀峯の菊花炊飯土鍋を使用し、池上産の台梗二号冠軍米を炊いている。米粒が一粒一粒はっきりし、香りも十分だ。メインの「季節腴豚」は彰化永隆牧場で野菜を餌に飼育された豚で、色艶、柔らかさ、風味は抜群。「真心豆腐」は苗栗の職人が古式に則り製造し、フレンチの手法で調理した。豆腐をクラムチャウダーシュー中に入れ、上にエビ、タコなどを散らしている。
Add:大安区杭州南路二段67号
Tel:+886-2-23951689
Open:11:30-14:00、18:00-22:00(L.O.21:00)
週末のみアフタヌーンティー14:30-17:00
Web:www.leputing.com.tw
予約:予約をお勧め/カード:可/サービス料:10%/最低消費:ランチNT$520、ディナーNT$1,200
同安街を行き止まりまで歩くと、紀州庵文学森林が目に入る。和歌山県出身の平松徳松は日本時代、先ずは西本願寺付近(現在の西門町)に紀州庵料亭本店を開き、後に川端町(紀州庵現在地)付近で紀州庵支店を開いた。戦前、紀州庵河畔での飲食や宴会は上流階級に属する人々の楽しみの一つだった。大戦後、紀州庵の建築は作家「王文興」の居所となったこともあり、作品中で何度も触れられている。1996年と1998年の火災で、本館と別館は焼失し、離れしか残っていないが、現在展示空間として生まれ変わり、アートイベントが不定期に行われている。横の新館は書店と飲食空間で、紀州庵の古い写真を使った絵ハガキが販売されている。
Add:中正区同安街107号
Tel:+886-2-23687577
Open:10:00-17:00 月曜定休
Ticket:入場無料
Web:kishuan.org.tw
開業半世紀近い老舗で、地元民の支持を長く受けてきた。店内では上海、江浙点心料理を提供する。餡が美味な小籠包が人気。看板料理─寧波雪菜炒糕は、年糕(餅)をスライスしほのかな酸味の雪菜と炒める。シャキッとした雪菜と弾力のある年糕の組み合わせは絶品だ。デザートはゴマ餡の中華まんがお勧め。小さくて可愛く、薄い皮にたっぷりの餡が詰まっている。
Add:中正区羅斯福路二段14号
Tel:+886-2-23943725
Open:11:00-20:30