楊格は「かつて紙とペンで手書きしていた頃には、メッセージを伝えるため、文章をゆっくりと吟味した。しかし、インターネットが普及した現在、使用者はメッセージを読返す暇もなく送信してしまう。言葉足らずだったり、誤解を招いたりすることもあるというのに」という。手書きを重視する彼らは、こうして文具の開発に取り掛かった。銅の重量感、時間と共に酸化していく変色の美に惹かれ、鉛筆に似た六角形状のペン本体の材料に採用した。ペンの先端部分は地元のベテラン職人と協力し、何度も実験を重ね、最小0.01cmの芯を出す孔を開発した。最後に、熟練の旋盤技術で仕上げ、精緻な流れるようなフォルムが出来上がった。ペン立てとペンケースは、タガヤサン素材も使い、タガヤサンの酸化して変色するという、銅と同様の特質を生かし、金属と木の延性が異なるという問題を克服し、古典的な作品を完成させた。
彼らは、手書きは厳粛で慎重な儀式と考えるため、ペンにはクリップを作らなかった。胸ポケットから出していつでもどこででも手書きするのではなく、机に向かい集中して書き物をして欲しいという。また、ペンケースとペン立ては細長い形状で容量も少ない。「使いやすい文具は量を求めるべきではない」として、良い文具を選び、手書きを大切にしてほしいとしている。
物外設計 (Y STUDIO)
楊格と廖宜賢は共に工業デザインを学んだ。レトロな感性でも意気投合した二人は2012年3月に「物外設計 (Y STUDIO)」を設立。物の本質から出発し、その中から広がる文化、生活スタイル等「物外の趣」を探る。台湾の熟練職人の技術保存、伝統産業の維持にも関心があり、また古い時代の物品の美しさを真に愛し、大量複製、効率を重視する工業デザインとは一線を画しており、製品を手作りするには、時間コストを計算にいれない。設計理念について考えを交換する中で、好様VVG、好氏設計(goodstudio.com.tw)、学学文創志業(www.xuexue.tw)と提携し、スタジオ、講座を開き、「微物撮影」、「器物実験室」等テーマで展示を行うようなり、これにより物品の本質と素敵な生活を結びつける。
www.ystudio-style.com
委託販売スポット:
礼拜文具房(Tools to Liveby)
台北市大安区楽利路72巷15号
Tel:(02)2739-1080
好様本事(VVG SOMETHING)
台北市大安区忠孝東路四段181巷40弄13号
Tel:(02)27731358
Web:vvgvvg.blogspot.tw